第561話完全にわかった人がいると思っている

「ジェームズは気でも狂ったの? こんなときにまだ色恋にうつつを抜かして、あのクソ女エミリーのことを考えてるなんて!」

そのころゾーイは、まだネイサニエルの膝に身を横たえたまま、彼に食べさせてもらう果物を味わい、くすくすと笑っていた。

ジェームズの幼さを笑っているのか。

それとも、いわゆる真実の愛を嘲っているのか。

ゾーイが目を向けていないときのネイサニエルの表情は、読み取りにくかった。

「どうして黙ってるの?」

ふいにゾーイが顔を上げ、ネイサニエルを見た。

ネイサニエルはすでに平静を取り戻し、「自分に関係のないことに、労力は使わない」と答えた。

その言葉が、かえってゾーイの気に...

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